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TAKARA

TAKARA西口編
『TAKARA』 執筆のきっかけとは LinkIconこちらへ

「確かに僕には君のように入院するような病気になったことがない。・・・・でも病気

は自らが作り出したものだと思うんだ」

俺はその宝の言葉に、ぽかんと口を開けてしまった。すんなりと認めた。病気は自

らが作り出す?その言葉に俺は少し疑問を持った。

「僕たちは身体の原理を知らなさすぎるんだ」

身体の原理を知らなさすぎ?自分の身体なのにか?さっきまでのいらだちは消え、

興味が湧いてきた。宝の言葉を待つ。

「いいか?人の身体は細胞一つ一つまで完璧に万全に創りあげられたものだ。朝

起きて自分の身体が正常に機能していること、心臓が自分の意図で動いていない

のに気づいたことがある?胃の中に食べ物を入れたとき、意図的に消化してい

る?そうじゃないよな、全ては身体がやっていることだ。自分がいちいち命令してや

っていることでは無いはずだ。何がそうさせていると思う?僕たちの体内では宇宙

の神秘と同じように計り知れないほどの働きがなされている。その働きは理に基づ

き行われ、一分一秒と乱れることは無い。本来はそうあるものであり、またそうある

べきなんだ。現在、死に至る病気が増加してきた訳は、人々がその働きを無視し、

考えもせず、嗜好品をむさぼりストレスをため続けているためなんだよ。自分たち

の身体を害しているのは自分たち自身なんだ。しかし人々はそうだと気づいていて

いない。本来の身体の機能を自ら損ねてしまっていることに気づいていないんだ。

いや気づいていても無視し続けているんだ。そして悲しいかな、人は病気になった

ときにしかそのことを重視しない。病気になったり怪我をしたりすることで、初めてそ

の働きに対して敏感になり、これを担っているものに気づくんだ。そんな状態では、

それに気づいたときには手遅れになっていても仕方ない」

宝の言っていることは理解出来ないでも無い。確かに、そうだと思う。しかし・・・。

「そんなに神経質になれるわけ無いだろ」

どうも腑に落ちない。

「そうかな。ガンみたいな三大病と言われるものは、みんな原因がわかっているの

に、人はそれを食い止められない。なぜだと思う?」

なぜかって・・・

「そんなの・・・・そうなる運命だからだ」

「・・・運命か。それも確かに否定はできないな。でも、運命は自らが作っているんだ

よ」運命を・・・自らが創りあげる・・・?

「風邪や、ちいさな怪我は不注意という原因ですぐに結果が現れ大事になる前に防

ぐことが出来るけど、ガンや脳梗塞みたいな生死に関わる大病は長い間知らず知

らずのうちに作った原因の結果なんだ。つまり積み重ねてきた悪い原因の結果な

んだ。過去の因果とも関連している」

「は?因果?まさかそんなものを信じてるのか」

呆れて物が言えない。呆れることを通り越して笑いが出てしまった。

「ハハ、でも仮にそうだとしても、そんな原因があるなら逃れることは出来るはずが

ないだろ!結果を受けなくちゃいけないんだから」

過去に、前世に原因をつくったなら必ず、その結果は受けなきゃならない。それは

決まっているはずだ。

「大病になる人の運命は生まれたときからもう定まっている。だけど因果は変えら

れるはずだ、それを食い止めることはできるんだ・・・・」

「はぁ?じゃあどうやって食い止められるんだよ!」

俺は怒りの勢いに任せた。訳がわからねえ、さっきから話が矛盾しっぱなしだ。

「それは・・・・」

やっとそこで宝が困ったように口を閉じた。どうやったら、どうやったらその最悪な

運命を変えられるんだ?

「反省と・・・・感謝?」

よけいに訳の分からないことを宝は口にした。それもなぜか疑問形。反省と感謝ぐ

らいで病気が治るんだったら・・・・。

「何だそれ!そんなことで治るんならもう治ってるよ。俺の親なんか俺をそこら中に

引っ張り回し、拝んでもらっているんだ。何十万というお金をつぎ込んでさ。もううん

ざりだ。そんなお金があるんなら俺にくれって感じだぜ」

頭に手を組んで寝っ転がった。実際にそうだった。俺の両親は、俺がバスケを出来

なくなって、2回目の手術後、たびたび神社やお寺に行っては、俺の目の前で大金

を渡し、毎回拝んでもらっている。

「・・・・感謝や反省は君の言う〝祈り〟とは違うと思う。人は病気や不具合が起こる

と神社、仏閣にお参りをし、今までの行いを悔い、そして〝これからは悪い行いを

慎みます。だからどうか助けてください〟と拝む。外部から助けてもらおうとしている

他力本願なんだ」

「お前、そんなこと言ってたら宗教はみんなそうじゃないか」

神様や仏様に向かって頭を下げて、お参りをして、拝んで。それで自分に幸福を与

えようとしている。

「すべてがそうなんじゃない。宗教は本来感謝や反省を常に行い、幸せを継続し続

ける手段なんだ。そして人の思いを現実にしてくれる近道なんだ。信じる力がその

人の幸せを招く。だけどほとんどの宗教は外部に求めてしまっているから、目的を

違う方向に変えてしまっているから、だから宗教を真に信じられない人が増えて、

真に信じてきた人をも揺るがしてしまっているんだ。それが宗教を悪くしてしまった

原因なんだ。聖者が導きたかった真の教えは、心から安らぐことの出来る教えは、

自分の中にあるんだ」

自分の中にあるだと?外部に求めて何が悪い。目に見えない物を信じるより、目に

見える物の方が信じられる。それに信用だって出来る。それなのに、目に見えない

自分の中の物を信じれと?

「俺だって信じたさ、病気を治そうと、いいというものはすべてしてきた。薬だって飲

まない日はない。だけど一向に良くならないんだ。どうせ治りはしないのさ」

俺はそこまで言い切るとため息をついた。深いため息を。全てを諦めたかのよう

に。

「違う。君は直そうとしていない。君は死を呼んでいる。死にたがっている」

「何だと!」

宝のその言葉に頭に血が上った。また胸ぐらをつかみそうになるのを必死にこらえ

た。しかし声だけは大きくなってしまった。

「病気は自らが望んだ結果だ。それがもう一つの原因、念だ」

それでも尚、宝は淡々と語り続けた。

「そんな訳がないだろ!」

自分の思いが病気を呼ぶだって?そんなふざけた事があってたまるか。非常識過

ぎる。いや、宝の言っていること一つ一つが、少しあり得ないことになってきている。

そこで宝は再び黙り込んだ。

くっそ!何か言い返せよ!きにいらねーのなら黙って無くて、言えばいいだろ!俺

はいらだっていた物の、ここから去ろうという気にはなれなかった。いや、逆に言え

ば、その選択肢は浮かばなかった。宝は黙ったまま目を瞑ってしまった。ついに言

うことが無くなったのか?限界が来たのか?

そうやっていろいろな思いを巡らせているうちに、目を開け、しゃべり出した。

「病気は、今、自分の立たされている状況を回避することの出来る一番の手段なん

だ。病気は今の状態から逃げたかっがいる人が起こす現象だ。深く考えてみれば

その原因がどこから来ているのか分かるはずだ」

今自分の立たされている状況を回避することの出来る一番の手段・・・・・・。

「人は、会社や学校、そして家庭など、この社会の中に生きている上で様々な問題

に遭遇し、行き詰まる時が必ずある。それをいろいろな手段を使って解決していく。

その解決方法は人によって様々だ。大半の人は、外のせいにして逃れたりしてい

る。それでもその状況から逃げることが出来なくなった時、どうしようもない壁にぶ

ち当たったとき、そして解決できないと分かった時、最後の手段として病気を呼ぶ。

そうすれば、病気のせいにでき、自分がその状況から逃げ出す道が開かれるのだ

から」

「・・・・・病気を呼ぶだと?」

俺は引きつり笑いをした。

「魂は死を恐がりはしない。命令されたまま行動するだけだ。逃げ出したいという一

つの念に応じるだけだ。そうして治癒力のある細胞の活動を眠らせる。そのスイッ

チを止めない限り、病気に冒されるのを阻止することはできない」

しばらく沈黙が続いた。誰も言葉を発しようとしない。

「どうすれば止められるの?」

ずっと横で聞いていた岬が口を開いた。

「たとえばガンという病気だ。がんと告知された大方の人は恐怖に打ちのめされ

る。ガン、イコール死。こう思う。すると魂は死するよう細胞に命令する。それは今

の状況から逃げたいと思い続けている人には阻止出来ない。そして恐怖に打ち負

かされた人も同じ。そして外のせいにしている人もだ。大事なのは自分のつくった

原因を知り、それを素直に受け入れること、考えを自らの内面に向けることだ。自

分は何から逃げようとしているのか。そしてどうしたいと思っているのか・・・・」

ついに俺の怒りケージはMAXに達した。

「無意識に作った病気なのにお前のような事を言われ責められたんじゃ、たまった

もんじゃない!お前が呼んだ病気だろ!人に迷惑かけんなってな!治る病気もま

た悪く言われてよけいに悪くなっちまうじゃねえか!」

気づけばそんなことを口走っていた。これ以上怒鳴ったり血液を激流させたりする

と、また発作が起こり兼ねない。自分を必死で抑えた。

「この法則を聞いて病人にそう言う人は良心が消えかかっているんだ。神の心から

離れてしまっている。そういう人こそ哀れな人間だ。病気で苦しむ人たちより」

ということは、俺は哀れな人間か。良心が消えかかっている哀れな人間かよ。

「ふん、今更反省や感謝がなんだって言うんだ。俺は死ぬ時期までもう宣告されて

るんだぞ!そんなことで良くなったら奇跡だ」

これ以上宝の顔を見てたらよけいに腹が立ってくる。俺はふいっと宝から視線をず

らした。「奇跡は神が創る物ではなく他人が作る物でもない。自らが作るものなん

だ。自分に宿る魂を信用し、正常な働きを取り戻すように細胞に呼びかけるんだ。

感謝をし続けることによって運命から免れるんだ。目覚めた時、食べるとき、仕事

や勉強をしている時、どんなときも感謝をする。そうすれば片時も自分の魂と離れ

ることはない。身体には治癒力がある。悪いところに意識、自分の心を集中させる

んだ。そして病気がますます悪化する原因となる不安やおそれをなくすんだ。不安

やおそれがストレスとなり治癒の妨げとなる。そして理に反したもの全てを身体に

入れない事だ。大半の人はそれで命を縮めている。とにかく本人が治そうとする気

持ちが一番の薬なんだ。不安や安易な知恵が一番の毒となるんだ」

俺はちょっと呆気にとられた。身体のこと・・・そこまで考えたことなかった。でも何か

が腑に落ちない。不安や恐れが自分の身体にどう影響してるっていえる?理に反

した物ってなんだ?誰でも病気なんていらないし、治そうと必死なはずだ。

しかしその疑問を口には出さず、俺はおとなしく宝の話を聞いた。

「それにもう一つ・・・・人のせいにしたり当たったりしている人は病気をよけいに悪

化させているんだ。人のせいにするときは闘争心が激しい。体中の血を激流させ

る。それが細胞にとってもとても危険な状態を生じさせることになる」

おそらく、あの腹が立ったときにカッと熱くなることを言っているのだろう。

「けど、過去に自分が作った原因だと思えば反省し、懺悔することができる。それは

後悔とも違う。その時魂、心はとても安らかになるはず。大半の人はそれに気づけ

ないでいる。反省、懺悔、感謝は治癒のための薬となる。そしてそれが全てのエネ

ルギーの源と気づく。思いようによっては病気も悟りの第一歩かもしれないよ・・・・」

何が、悟りだ。心が安らかだ?俺はちっと舌打ちをした。

「じゃあ、赤ん坊はどうなんだ?生まれながらに病気持ちの子だっているじゃない

か。そんなこと考える事の出来ない子供はどうするんだ?」

子供に、それもまだ生まれて何も考えていない間に、病気になる子だって少なくな

い。その子たちはまだ生まれてきても無いわけだし、原因を作っている訳でもない。

「大人だよ。周りの大人。赤ん坊だって魂を持った人間だ。心が無い訳ではない僕

たちは自分の幼い頃の事は何一つ覚えていない。だけど覚えていないからと言っ

て、何も思ったり考えたりしなかった訳じゃない。赤ん坊は母親のお腹にいる時か

ら考え、反応している。母親の胎内に宿った瞬間から魂はすべてのことを敏感にキ

ャッチし反応する。大人より早く。一番影響するのは母親の気持ち。そしてその家

族の気持ちだ」

・・・・・?

「じゃあ、親の気持ちが子供を病気にしてしまうというのか?そんな馬鹿な。どこの

親が病気持ちの子供を望む?」

「そう、望む親はいない。でも無意識のところでそう言う思いを発し、実際に現実へ

と導いてしまっていると言ったら?」

「無意識だと?」

それって無意識に病気持ちの子を望むっていう意味なのか?

「親は子供の身体をつくり、そして心も作る。親のトラウマがそうさせる。過去の経

験に基づき無意識の中で不安というかたちに変えてしまうんだ」

「経験?そんな経験をする者はまれだ」

それに実際に自分で経験する人は数少ない。病気持ちの子供を産む親は以前に

そんな経験をしたことの無い人ばっかだ。

「それは、今生だけではないよ。この世に生まれてくる者は何万年もの時の中で生

死を繰り返し、その経験の中で自ら、時、場所、環境を選んで来るんだ。だから違う

意味では子供たちはあえてその両親の元を選んで降りてくる。病気になることを知

っていて」

「そんな馬鹿な!!」

俺は大声で否定した。誰も病気になること何て望んじゃいない!それなのに場所を

選んで来るだって?

「両親を気づかせるために。両親の歩む方向が間違っていると知らしめるために

だ」

「まさか・・・そんなわけ無いだろ。すべては偶然だ!」

自分の家族を気に入らない奴だって大勢いる。そいつらも全員親と環境を選んで

生まれてきたってか?そんなことあるはずがない。もしそんなことが出来たとした

ら、みんな平和に幸せに暮らしてるはずだ。

「俺はもう病気にかかってしまってるんだ。今更感謝して生きたって治る訳がない!

そんなこと言ってたら世界中の医者がお前を殺しに来るぜ」

俺は声を上げて笑った。そうだ。そんなことで病気なんぞが治るはずがない。

しかし俺のその質問にも、宝はひるまずに言葉を続けた。

「医者や薬の力は絶大だ。眠った細胞を目覚めさせ、そして手助けしてくれる。ほと

んどの病気は薬の力で細胞を蘇生させることができる。だけど悲しいかな、人は原

因を知ろうとする前に薬で病気を治そうとしている。そして一時的に病気を抑える事

で病気が治ったと思いこむ。けれどこれはただ単に病気を薬で誤魔化しているに

過ぎない。どうして病気になったのかを考えない。だから同じ過ちを繰り返してしまう

んだ。これだけ医学が発達しているのに病人が減らないのはなぜだと思う?これは

心の働きと同じだ。どうして自分がイライラしているのか、どうして怖がっているの

か、どうして緊張してしまうのか、どうして人のせいばかりにしているのか・・・どうし

て物事がうまく運ばないのか・・・・その原因を突き止めず、暴飲、暴食、衝動買い、

旅行、・・・自分の欲を満たせば治まると思い、そういう方向に走って誤魔化す。け

れでそれでは絶対、心は治まらない。なぜなら原因を知らないから。原因を知って

解決しないから。だから同じ事で心を苦しめるんだ。最終的に必要なのは治そうと

する力なんだ。自分の魂で身体の全細胞を目覚めさせ、そして治癒させることなん

だ。ガンという細胞は元は正常な細胞の一つだったんだ。それがなんらかの原因で

変異し、分裂し増殖するものだ。悪いところを切ればいい、殺せばいいという考え

方も間違ってはいないだろう。だけどたとえそうしても、病気になった原因が解消さ

れない限り、病気は癒されない。再び違う形で現れるんだ。病気をなくす手段はた

だ一つ、正常な細胞へと戻してやることなんだ。魂を使い細胞を目覚めさせ、自然

の恩恵を受けた植物を受け入れ、害となるものを勇気を持って排除し、細胞のた

めに手助けをしてやることなんだ。これにより治癒力は増していく」

「医療ミスで重い病気になったらどうなんだ!エイズとかよ!これも治せるというの

か?」「エイズもさっき言ったように今生だけの原因ではないんだ。人から受ける病

や怪我、そして死は最も罪が大きい。言ったように、死の危険が伴う病気は長い月

日の間に積み重ねた原因の結果なんだ。だからこういった病にかかった人は最も

試されるんだ。死と向き合うということは、生きる意味を知るチャンスとなる。生死を

どう捉えるか・・・・それによって来世の生き方も変わってくるから」

俺は鼻で笑った。バカを超している。

「そんな、前世の原因や目に見えない罪なんかがどうしてわかる?そんなこじつけ

に納得がいくと思うのか?」

「物事には全て原因があるんだ!同じように病にも原因がある。君は病気の原因

を探そうとしていない。両親や治してくれない医者を責めるだけで、本気で病気を克

服しようとしていないんだ」

宝のその言葉は俺の心にぐさっと来た。別に怒鳴っている訳でも無いのに、重みが

あり、威圧感がある。

「俺の苦しみが分からない奴らに何がわかる・・・・そんな綺麗事で済まされる訳が

ないだろ!今にも死にそうな時にこんなことを言ってられっかよ」

俺の声はだんだん力をなくし、小さくなっていった。声を出したらよけいに自身がなく

なってきた。

「今の君には原因を見つけることが必要だ、感謝が必要なんだ。憎しみや後悔、そ

して死の恐怖は魂に深く刻み込まれ、死んでからも永遠に消えることは無い。念と

して残り続ける。それがまた原因となり再び生まれ変わった時に繰り返されるん

だ。感謝をして死する人はそれらを残さない。安らかに幸せに死を迎え、そして本

来の心で再び新しい出発をするんだ。死は終わりでは無いんだ。永遠に続くサイク

ルの一つなんだ」

死は終わりでは無い・・・・・。その言葉もまたずっしりと重みがあった。別にそこだけ

を宝が強調して言った訳では無いのに。それなのに・・・・重みがある。

「じゃあ・・・・生と死が永遠のサイクルの中なら、宇宙にもそのサイクルがあると言

うの?死と同じ終末が・・・・」

少し遠くで今までずっと静かに聞いていた岬が質問した。岬も岬で自分の中で何か

ができあがってきているらしかった。俺とはまた別の何かが。俺が質問しようとした

ことを、岬が質問した。

「そう・・・・形の上ではね。自然の運行も生命の運行も大きいか小さいかだけで、同

じなんだ。自然災害も病気と同じなんだ。理のバランスを崩した時にそれが起こる。

もう地球は絶滅に向かいつつある。だけど人々はようやくそれに気づき始めた。オ

ゾンを破壊するフロン、体内に害を及ぼすダイオキシン。特効薬のないエイズや伝

染病、そういった人類破壊を防止する対策をし始めた。でもそれはほんの気づきで

しかない。まだ世界は争い合い、殺し合いだって今も平気でする。身体に悪いもの

を食べ、ストレスをため込み、無理をし、予防もせず使いたいだけ使って自ら破壊

を導いていることに気づいていない」

自然の運命も運行が同じ・・・・。

病気をしているのは今自分のはずなのに。病気で苦しんでるのは自分のはずなの

に。なんか全然そんなんじゃないように思える。うざい、うざいと思っていた親が。医

者が。なぜか今はどうでもいい。許せる。死は終わりじゃない。今俺は、試されてる

んだ、神に。

「お前どこでそんなことを教わったんだ?まだ十五歳で思うことか?そんな理屈

を・・・・」

きっと俺の顔はゆるんでいたような気がする。その時、なぜか全然睨む気にならな

かった。不思議と。

「・・・・歳なんか関係ないよ。みんな知ってることさ。ただ忘れているだけだよ。そし

て楽するために思い出そうとしないだけなんだ」

・・・・みんな・・・知ってること・・・。楽をするため・・思い出さない・・・・。

確かに不理屈な事ばかりで、理解することは難しいし、大変だ。だからか・・・。

「でも本当にそうかもしれないわ。私も生まれてきた意味、そして死んでしまった後

のことは小さな頃から疑問に思ってたわ。でも自分たちにとってどんな生き方が最

善なのかを考えようともしなかった。成り行きに任せるというか、大人がやってるこ

とは間違いがないと思っていた」

そういう岬の目は輝いていた。きっとその言葉通りだと思う。

しばらく誰もしゃべらなかった。風が草を撫でていく。そよそよと俺の頬も撫でていっ

た。・・・気持ちいい。なぜか、生きてるって感じがする。寝っ転がっているだけで、

大自然に触れているような気がする。自然と道路の音も遠のいていくのが分かる。

珍しく、俺の心は落ち着いていた。いつも後悔するか、憎むか、苛つくかしていた俺

の心が。何かが変わった。何が変わった?って言われたら応えることは出来ない

けど、何かが変わった。

「もう、歩けるか?」

気づくと、空はもう薄暗くなりかけていた。雲に移る、夕日の色が綺麗だ。

宝は俺にそうかけながら手を差し出してきた。それを見ると自然とため息が出た。

また病人扱いか?せっかく人かいい気持ちでいるってゆーのに。俺はその手を避

けながらたった。そこで一息つく。身体が信じられないぐらいに軽い。薬で発作を治

すときは、だるくて、立つ気すら起こらないと言うのに。こんな事は初めてだ。

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